神前結婚式の巫女バイト

巫女のバイトは年末年始だけではありません。ここでは神前結婚式の巫女バイトを紹介します。あくまで私が勤めていた神社と神社と契約している式場での例です。他の神社や式場では異なる部分があります。

具体的な流れ

準備・着替えとリハーサル
式場によってスタッフが供物や榊を持って来たり、逆に受け取りに行ったりします。
メンバーは斎主(神主)・楽人・巫女二人の計四人ですが式場によっては楽人ではなく音楽を流す場合もあります。
また巫女には正巫女と副巫女がおり、正巫女には少々セリフがあります。以降の巫女のセリフは全て正巫女のセリフです。

新郎新婦の名前・参列者人数・カメラマンの同席・その他注意事項の確認。この時に誓詞と指輪を受け取るのですぐに神前に並べましょう
また出し忘れがないかの確認も全員で行いましょう。式の最中に気付くと大変なことになります…
時間は準備・式・片付けを含め約二時間ほどです。

まず扉が開くと「本日は誠におめでとうございます(一礼)どうぞごゆっくりお運びくださいませ(一礼)」と挨拶、一礼の際は動きを合わせましょう。
そして正巫女は新郎と新郎の親族、副巫女は新婦と新婦の親族を誘導します。高齢者や車いす、ベビーカーの人がいたらお手伝いしましょう。
また介添え人が同席しない式場では副巫女が新婦の裾持ちなどをしますので、介添え人のいる式場では動きをしっかり観察しておきましょう。

実際の年配の男性です。若い男性が行うことは滅多にありません。
この後なんかゴチャゴチャ唱えますのでその間は礼をしたままの体勢です。

斎主が祓え串(画像参照)を持って新郎新婦側を向いたら「お清めをいたします。皆様お頭をお下げくださいませ(お払い)お直りくださいませ」と言います。落ち着いて丁寧に言いましょう。

斎主が祓串を置き一旦横に引っ込んだら「斎主祝詞奏上」と言います。場内に響くようはっきり「そ~じょ~」と伸ばします。
そして斎主が出てきて祝詞を広げている間に「皆様お頭をお下げくださいませ」祝詞は3分ほどでその間は礼をしたままです。何気に腰と脚にきます。祝詞が終わったら「お直りくださいませ」

いわゆる三々九度です。小中大の杯を新郎・新婦・新郎の順で行います。
正巫女は杯、副巫女は長柄(画像参照)を同時に神前に出てきて一礼してから持ちます。そして内回りに回って向きを変えます、動きはゆっくり必ず合わせましょう。
まず正巫女は杯を渡し副巫女と入れ替わります。副巫女は三回長柄を傾け三回目で神酒を注ぎます。副巫女が下がったら一二三のリズムで神酒を飲みます。お酒が苦手な人は飲むフリで大丈夫ですが臭いを嗅ぐのもダメだという場合はスポーツドリンクで代用します。水じゃダメなの?と思いますが、水杯は“別れの杯”と呼ばれ縁起が悪いので不可です。
飲み終わったら正巫女が杯を受け取ります。

新郎新婦が神前に出て新郎が誓詞を読み上げます。
正巫女は案(新郎新婦の前にあるテーブル)をどかします。間違っても新郎新婦の前を横切らないで下さい。面倒でも後ろを通って下さい。
また介添え人不在の場合は副巫女が新婦の裾持ちを手伝ったり、裾を扇状にきれいに整えます。くどいようですが介添え人のいる式場では動きをしっかり観察しておきましょう。

新郎新婦が玉串を神前に捧げ全員で二礼二拍手一拝をします。
正巫女は新郎、副巫女は新婦に玉串を渡します。この時、顔に当てないよう気を付けましょう。
この後、媒酌人も奉奠する場合があります。
余談ですが、巫女は二礼の後ずっと礼をした体勢なので鼻水が垂れてしまう場合は二拍手の時に音に紛れて静かにかみましょう。参列者に見られないよう気を付けて。
近くに隠れられる場所があればそこでやりましょう。式中はそこでしか鼻をかめません(笑)風邪気味の時は懐に二・三枚ティッシュを忍ばせておきましょう。

正巫女が指輪を新郎新婦に渡します。
新郎に渡したら一旦下がり指輪をはめている間に新婦の指輪をピローから出しておきましょう。この時にカメラマンや参列者が写真を撮りますのでタイミングを見計らってから新婦に指輪を渡しましょう。

参列者全員で神酒を飲みます。新郎新婦・参列者・媒酌人に神酒を注いで回ります。この時、神前にお尻を向けてはいけません。小さい子供がいる場合は保護者に酒だという旨を伝えましょう。

挨拶の後「本日は誠におめでとうございました。これより皆様をご写場にご案内いたします、いましばらくそのままでお待ちくださいませ」と言い、正巫女は案をどかし副巫女は扉を開けます。写真撮影がない場合は「ご新郎ご新婦ご退場となりますので(以下同文)」です。
礼をしたまま新郎新婦を見送ると参列者退場です「本日は誠におめでとうございました。お扉より(式場によってはご神前に)お近くの方よりご退場くださいませ」と言い(音楽流れてるので声は大きく)邪魔にならない所で「おめでとうございました」と礼。
全員が退場したら扉の前で並んで礼をし見送り扉を閉めもう一度礼をして終了です。

杯や長柄・加え、土器(かわらけ)を洗い指定の場所へ戻します。胡床(イス)や案を丁寧に並べ直し供物や榊も返しましょう。続けて式がある場合は新しい土器と交換、神酒を足します。
紙垂なども元の位置に片付け白衣や袴も丁寧に畳みます(ロッカーのある所は畳まなくてよし)
式場スタッフが指輪ケースや誓詞を取りに来ますので挨拶を忘れずに。粗相をした場合はちゃんと謝りましょう。

肌襦袢・腰ひも・足袋
髪の毛が茶色に近い人はウィッグも必要になるかもしれません。
言うまでもなく派手なメイクやネイルアート・染髪は不可です。

式場の社食がタダ食いできる
友達が増える
神主は年配の男性が多いので人生のためになる話が聞ける
複雑なマニュアルや応用がなく覚える作業は少ない
何度でも出戻りができる(年齢にもよるが)
なんだかんだで楽しい
人前で堂々と巫女のコスプレができる
高校生でもできる

髪を染められない
月によって収入にバラつきがある
主に勤務は土日祝日なので副業にしかならない
シーズン中は式場をハシゴしたり長時間拘束される
当日キャンセルになる場合もある(奉仕料はしっかり請求しましょう)
式場によっては洗濯をしてくれない(白衣の襟元が黄ばんでいたり生理の血がついていたりしますので自分達で積極的にクリーニングに出したり神主さんに相談しましょう)
式中ずっと騒いでいる五月蝿いガキがいる時がある
神主さんは年配の男性ばかり(若くても60代)なので悲しいお知らせが来る時があります

開始時間と入り時間をしっかり確認
前髪はピンで止める
終了後に神主さんからお茶に誘われることが多いのでコミュニケーションの向上や、式場によって細かい部分が異なるので情報交換も兼ねて、できるだけ参加しましょう。お茶代は神社持ちです。

三献の杯が準備されていなかった
巫女が一人来ない(その場合は一人巫女として一部神主が正巫女の代わりをします)
千早がない(人数分あるはずが一着しかなく、千早着用は絶対なので急きょ一人巫女に…)
花嫁が緊張のあまり指輪を落とした(落ち方が良かったのか遠くまで転がってしまいスタッフが慌てて追いかけたとか)
花嫁が倒れた(10人に1人の割合で起きます。なので式終了後の予定はなるべく入れないでおきましょう。また参列者が倒れる時もあります)
新郎新婦の名前を間違えた
参列者に小指が根元からきれいに切り取ったかのように生えてない男性がいた…

昼ドラのような生々しい事件は期待したけど起きなかったなぁ(笑)

年配の夫婦二人だけの結婚式、しかし退場の時に終始置きっぱなしになっていたカメラが気になった斎主は呼び止め「撮らなくていいのか」と尋ねた。
その夫婦はご主人がガンで余命が僅かだと分かり、若い頃諸事情で結婚式を挙げていなかったため二人で挙げることにしたが介添え人に頼むタイミングを失ったと話した。それを聞いた巫女と介添え人は同情し、後に式の予定がなかったこともありやり直しとなった。(といっても三献の儀や指輪交換など一部だけ)
斎主が呼び止めなければ、心残りのある結婚式になっていたでしょう。

式中に花嫁が倒れると式は一時中断となりますが…その間式場には初対面同士の親族だけ、この気まずい空気を和ますのも斎主の役目です。斎主はちょっとした小話をして笑わせることで場を繋ぎます(つまり笑わせて誤魔化す)
そのため神前式の神主は漫談の得意な方でないと務まらないそうです。私の父親は無理そうだなぁ…