ダイハツ、日野、スバル・・・・生産を投げまくりのトヨタ。でもそれには深い理由があった。

ランドクルーザープラド、FJクルーザー、トヨエース、パッソ、ルーミー/タンク、86・・・スープラ?

お前もうちょっと自分で作れないのか?なんて言いたくなりますが・・・・

トヨタのランクルプラド、FJクルーザーて日野で作ってるんだね(๑・᷄ὢ・᷅ ๑)
ショックだよ

@masatodayjw3 ダイハツはトヨタにエンジンを供給してるだけですよ(笑)
トヨタの軽はダイハツのOEMですし

実はトヨタって自分の所でエンジンこしらえてないんです(爆)
スズキとかダイハツ、マツダ、三菱は自社エンジン乗っけてるんですけどね〜

注:トヨタ純製のエンジンはちゃんとあります。

トヨタのこの他社に作ってもらった車をメディアに堂々と晒していくとこが嫌いなんだよなぁ、自分たちじゃボクサーエンジンも作れないくせによー pic.twitter.com/qCynhNLoNh

でも、トヨタが生産委託を多用するのはちゃんとわけがあります。

トヨタの生産委託の歴史は終戦後の1960年代半ば、日本のモータリゼーションの黎明期までさかのぼります

「三種の神器」(冷蔵庫、洗濯機、TV)に代わって「3C」(自動車、クーラー、カラーテレビ)がもてはやされ始めました。カローラは庶民に爆発的に売れ、モータリゼーションを促進したとされます。

この時期のトヨタの方針は、次の2点に集約された。
1.国内の需要多様化に対応して車種系列を充実し、フルライン体制を確立する。
2.資本自由化に対処するため、200万台体制を当面の目標とした量産体制の確立と、それによるコストダウンを目指す。

日本のOECD加盟により外国車の輸入が自由化されたため、外国車勢に生産力で対抗する必要がありました・・・・が、当時のトヨタの生産力はやっと年産100万台を達成できた程度。これでは年産200万台超のGMとフォードには対抗できない。おまけにラインナップも全然足りてない。

ダイハツ工業、日野自動車工業への生産委託は、長い目で見れば今後増えよう。とにかく、今は関係各社を含めて一刻も早く200万台体制をつくりあげなければならない。

今も自動車業界は電気自動車化の波に抗するべく大手メーカーを中心に寄り合い、提携・共同開発で開発費を削減していますが、昔の日本も全く同じことがあったのです。

70年代に入るとマスキー法の施行、ニクソンショック、オイルショックなども重なり、同時期スズキがGM、スバルが日産、マツダがフォードの傘下入りをしています。時を前後して、ヤマハもMF-1とSC-1が大規模クレームに発展して経営が傾き、日産と一時的に提携してました。

提携と合併に奔走する自動車界だが、トヨタにだけは『独占禁止法』の壁があった。

独禁法の関連でいえば、日産とプリンスの合併の際、公正取引委員会は「日産とプリンスが合併してもシェア(市場占有率)はトヨタを追い越さない。だからこの合併は認める」との方針を出した。ということはトップメーカーであるトヨタはどことも合併できないということになる。

日産はプリンスを吸収したことで、スカイラインやグロリア、レーシングカーの「R380」などを日産車にできました。しかしトヨタはそうしたことは一切認められなかったのです。

1966年に入ると、日野自動車の松方正信社長はトヨタに対し、「小型乗用車のコンテッサはやめる。その代わり小型車について生産委託などの協力、援助を」という思い切った提案をしてきた。
(中略)提携後直ちに、日野1,200人の社員をトヨタへ派遣し、その生産方法を学んでもらうことにした。(中略)われわれは貴重なノウハウを取得し、日野の体質改善は急速に進んだ。工場の生産性は倍加し、仕掛品は3分の1に減少した。また、新製品立ち上がり手法を学ぶことによって、われわれはニューモデルの初期品質を高めることに成功し、日野車に対するユーザーの信頼感は全国に浸透していった。

もともと生産請負を提案してきたのは日野の方からなんですね。加えて生産のノウハウをトヨタから大きく吸収して立ち直り、事実上合併といっても良い関係になりました。

それまでオート三輪をメインにしていたダイハツは、四輪車のノウハウで立ち後れていました。
そこで当時圧倒的な支持を得てモータリゼーションの中心となったカローラの、事実上の上位グレードであるシャルマン(画像)を販売。またトヨタ・パブリカの上位グレードも同様にコンソルテとして販売しました。

独禁法の問題から合併は為しえていませんが、日野・ダイハツの運命は半世紀前からトヨタと共にあり、半ば合併していると言っても過言ではありません。

トヨタくらいの規模になると、自社の生産ラインだけでは全然足りない

トヨタブランドの国内シェアは45%で、2位のホンダの4倍にものぼります。さらに世界的でのトヨタブランド単独の売り上げはなんと900万台を超えます(グループで首位を争うVWは、単独だとせいぜい400万台程度)。ここまで売れているブランドは他に類を見ません。

トヨタはカローラのためにエンジン(上郷工場)と組立(高岡工場)の二つの工場を建設した。うまくいったからこそ、いまごろのん気なことを言っていられるが、もし、モータリゼーションが起きていなければ、今ごろトヨタは過剰設備に悩まされていただろう。
(豊田英二著『決断―私の履歴書』197ページ)

当時上郷、高岡、東富士、三好、堤と立て続けに工場を建設したトヨタですが、本来こうした急激な工場増設はリスクが高い。実際トヨタがリーマンショックで経営危機に陥ったのは、00年代の拡大路線が急激すぎてコスト削減が間に合わなかったことが原因です。

ラインナップも非常に多彩。セダン・スポーツカー・ミニバン・ワゴン・コンパクト・街乗りSUV・本格派クロカン・ピックアップトラックといった乗用車を広い価格とサイズで取り備えている他、タクシー・大中小トラック・商用バン・公用車・福祉車・霊柩車といった「はたらく車」まで。なかには「こんなの誰が買うんだ?」「これ被ってない?」と思うような車種もあります。多様なニーズに信頼性の高い車で対応しています。

「リーズナブルな車体価格(180万~250万円)に加え、耐久性に優れています。新車で6~7年使用して、約80万kmは走行できる。地方では100万kmまで使っている会社も珍しくありません」

トヨタは廉価・丈夫・ニーズの追求によりタクシー市場で8割、福祉車市場で7割のシェアを占めている。

スバルやマツダが自分らしい車作りに専念できているのは、苦手なEV技術や実用車などをトヨタグループが担ってくれているからという面もあります。

お互いにメリットがあるからこその生産委託・請負なんです

OEM・生産委託は、車オタクが想像する様な「キミ、アレ作っといてね~儲けは俺がもらうけどw」という関係では断じてない。

「もしカムリが続けられるなら、色んな意味、例えば生産面での刺激になるとか、そういうことも含めて続けさせて頂いた方が当社としてはありがたいので、そういう意味では残念」としながらも、「トヨタにとって当時は台数が足りなくてという事情はあったにせよ、富士重工側でいえばSIAの稼働率を上げることに非常にプラスに、富士重工の損益的にも効果があったことも事実だから、その時も恩義を考えれば、別に恨みがましいことをいうようなことでもない」と述べた。

スバル吉永社長の言葉。2004年以降、スバルは危機的に稼働率の低い北米工場(SIA)で、当時売れまくっていたトヨタ・カムリを生産請負することで窮地から脱出。加えて1本の生産ラインにトヨタの生産技術・生産方式を導入し、ムダの削減を学びました。また86/BRZはちょうど軽トラのサンバーが生産終了して空いた生産ラインを利用しています。

デミオセダンのOEM車です。
一方でトヨタはマツダにハイブリッドシステムをOEM供給し、マツダはそれにSKYACTIV-Hybridと名付けています。

今回のマツダ、トヨタの合意により、メキシコ新工場はトヨタ向けの5万台の生産がプラスされため、マツダが当初ブラジル向けを想定した生産台数の減少をある程度穴埋めできるものと考えられる。
(中略)なお、トヨタ向けOEM車の生産にあたり、トヨタは能力増強分の設備投資、開発費用について応分を負担するとしている

トヨタがマツダにデミオセダンをOEM供給させてウハウハしているのかと思いきや、実際に助けられたのはマツダの方でした。これによりマツダは、政治的事情からメキシコからブラジルに車がほとんど輸出できなくなっていた窮地を脱しました。おまけにトヨタは「マツダの生産方式や車の設計には一切、口出ししない」といいつつ開発費や設備投資のお金も出してあげています。

ダイハツにとっても自社だけでは逆立ちしても売れない台数をトヨタが売ってくれるので、開発費の回収が早まり、資金の回転が良くなる。運転資金は、経営的に見ると永遠に眠っているに等しい無駄金なので、回転率が上がると塩漬けになっていた資金が回収できてウハウハだ。ということで、グループ全社がハッピーになる見事な絵図になっている。

2016年度のダイハツとしての販売台数は58万台。これは日産と同じくらいの数字ですが、トヨタ・スバルにOEM生産している年間52.9万台も足すとホンダすら大幅に上回ります。

まとめ

色々と述べてきましたが、トヨタが生産委託をする理由は凝縮すると2つです。
①独占禁止法の壁があるから(本来なら合併してもいいところだけど、できないから)
②トヨタ車の需要とラインナップ数に対して生産ラインの数が足りないから

その二次的効果として、生産請負をしている企業(主に日本の自動車産業)にもメリットがあるわけですね。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする