部下を潰す上司が気づいていない「質問」と「詰問」の決定的な違い

「なんでそう思ったんだ?」「その根拠は?」「で、その後のプランは?」──部下の考えを正確に把握しておく必要のある上司は、事あるごとに「なぜ」という言葉を使い質問をします。それが部下にとって「詰問」となり、心を蝕んでいるとも知らずに…。

「質問」と「詰問」の違い

しつもん【質問】とは。
わからないところや疑わしい点について問いただすこと。

きつもん【詰問】とは。
相手を責めて厳しく問いただすこと。

「質問」と「詰問」は、明らかに意味が違うものです。

そして往々にして、ビジネスシーンなどでは「質問」が「詰問」にすり替わっているのです…。

質問は、自分が聞きたいことを相手から聞き出すが、その聞き出し方によって、相手に安心を与えることもあれば、不安を与えることもできる。

自分では質問のつもりが、言い方によっては相手にとって“責めれられている=詰問”と捉えられてしまうことがあります。

相手を追い詰めるような質問は、質問ではなくて「詰問」です。

家庭内であればお子さんに対して、仕事場であれば部下や後輩に対してなど 立場的に弱い人への質問は、尋問や詰問になりやすい

上下関係がはっきりしている場合、上から下への「質問」は「詰問」になりやすい。

なぜ「質問」のつもりが「詰問」になってしまうのか

「なぜ」で始まる質問形式の会話には要注意。

「なんで?」という聞き方をしていないだろうか? 「なんでこんなにバグが多いの?」「なんでお客さんにメールを送ったの?」というように。

案件の説明など話をしている途中で「なんで?」「そう考える根拠は?」や「で?」等と話を遮られて十分に話せなく、話を持っていかれてしまい質問責めが始まる。

これでは、説明をしようとしている部下(あるいは立場の弱い人)は萎縮してしまい、言いたいことが言えなくなってしまいます。

コーチングは、上手に質問をしながら相手から答え(考え)を引き出すことが目的ではありますが、一歩間違えると「質問」ではなく、「詰問」に陥る可能性があります。

例えば、「なぜ遅刻をしたの?」であれば「寝坊したから」と答えます。
そうすると、詰問の「なぜ!?」をした話し手は、「そんなの理由にならない!」と大体その回答を潰しにかかります。受け手は混乱します。理由を聞かれたのに理由を素直に説明したら怒られた。何を言ったらいいか分からなくなる。

特に5W1Hの中で「なぜ(Why)」という言葉で始まる質問は、相手にとっては詰問と捉えられがちなので注意が必要です。

上司にしてみれば、一生懸命に考えを引き出そうと聴いているのですが、部下からしてみれば、少し「しんどいな」と感じるかも知れません。

「詰問」からは反発か逃避しか生まれない

質問攻めにする場合、質問者は自身の都合のみを考え、回答者の都合を無視しています。
その結果、最初は素直に回答していた回答者も、回答数が増えるにつれ、素直な回答を行わなくなり、質問者に対し攻撃的になっていきます。

詰問が続くと、詰問されている側には自然な防衛反応が起き、次第に「逃げる」「攻撃的になる」といった態度になってしまいます。
これでは良好な関係を作れるはずがありません。

詰問された部下にとっては、『聞かれている』というよりは『叱責されている』と感じられる。
だから部下は萎縮して、出てくる言葉は、謝罪と言い訳ばかりになる。

これに対しても、話し手は、「謝れと言ってるんじゃない。理由を聞いているんだ」と詰めてきます。理由を言ったら怒られるのは分かっていますから、受け手は今度は本当に途方に暮れる。

こうして、「なぜ!?」を言われて、何も言い返せない人が出来上がります。「なぜ後片付けしないの!?」「なぜ勉強しないの!?」「なぜ言ったことを覚えないの!?」「なぜこんなミスをしたの!?」「なぜ!?」「なぜ!?」「なぜ!?」……何を言われても無言。ひたすらサンドバック状態です。

詰問が続くと、詰問をされている相手は防衛反応のためものを言えなくなってしまいます。

詰問をしている側は、意図して詰問している場合を除き、自分が詰問をしてしまっていることに気づいていないことが多い。

もちろん仕事において「なぜ」をちゃんと考えることは大切だ。
なぜそうなったのか?
どうすれば、その問題は解決できるか。
ただし、そのなぜの追求を人間相手にやる場合は、ちゃんと人の心理を考える必要がある。

人はすべて、その時のその人のベストな方法で行動を決定していることを忘れてはいけません。
たとえそれが未熟に映ったとしても、それを否定することは相手にとっては人格を否定されていると捉えられてしまう可能性があるのです。

最終的に上司の詰問によって出た「改善策」はただの誘導尋問にしかなっておらず、上司側としては一応の正解に導いたつもりが、部下側にとっては最早言わされたものにすぎず、部下にとって自分で咀嚼するに至らないフワフワとした解のまま誰にとっても意味の無い解が得られるというわけであります。

上司の詰問によって誘導された答え(上司に忖度し、言わされている解答)には、何も意味はありません。

もし相手を窮地に追い込みたいのであれば、この詰問調の「なんで?」は効果的な言葉だ。

逆説的ですが、是か非はともかく、仮に相手を追い詰めることが目的なのであれば詰問は有効です。

ポイントは「相手に決定権を与える」こと

人間関係でもっとも大切なものは「信頼」です。

人は責められると反発したくなりますが、では、どうすればいいでしょうか?
それは相手に決定権を与えてあげることです。

人は元来「安全・安心要求」があるからです。
決定権がないということは、コントロールできないということを意味し、つまり無意識に安全でない(危険)と感じます。

「ひとつ質問してもいいですか?」とひと言添えるだけで、相手は質問を格段に受け入れやすくなります。
人間は決定権を持つと安全・安心を感じるからです

大切なのは、「あなたに決定権があるのですよ」ということを態度や言葉で示すこと。

回答者の視点を、「効果的な」視点=「質問=楽しいこと」に変えることで、素直な回答が望めます。
「効果的な」視点=「質問=楽しいこと」とは、つまり「(質問者に)もっと質問してもらいたい!」=「回答したくてたまらない!」という視点です。

この場合、質問している側の望む答えが得られないことも多々あることは予め覚悟しておきましょう。
ただし、望む答えが得られなかったからと言ってまた「なぜ〜」と始めてみたり、延々と自分の意見を述べ始めてしまっては完全に逆効果です。

上司に「詰問」させないための部下の工夫

たとえ上司であっても、こちらからの働きかけによって行動を変えることができる

上司だって普通の人間です。
そこには人間本来の絶対的な上下関係などないはずです。
「上司と部下」という関係に縛られない考え方を持つことで、上司はコントロールができる──この考え方は「ボスマネジメント」と呼ばれています。

一方の部下は、質問には自信を持って答えましょう。具体的には、語尾を「~と思う」とするのではなく、「~です」と言い切り型にするのです。

上司の質問に対して、それを詰問と捉えず、自信を持って応えられる部下は上司から信頼され、よい関係が築けるでしょう。

部下の仕事について責任を持つ立場である上司。やはり、部下の仕事の内容をしっかりと把握しておかなければならないという義務感があります。

部下の提案を上にあげたり決定し、最終的に責任を持つのは上司です。
上司の仕事としては、部下の考えをはっきりと把握しておく必要があるのです。

単に資料や報告書の内容を詳細に把握したいだけなのに、自信がなさそうに答えられると、部下に信頼が持てなくなってしまう。すると、イライラが募り始め、ますます質問がヒートアップし、詰問染みた口調になります。

詰問のように捉えられる質問にも、誠実に、にごさず回答をすることで信頼を得られるのだと思います。

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