USJが絶好調の理由

近年、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の人気が高まっています。2000年代中頃~後半は低迷が続いていましたが、ここ数年は東京ディズニーランドにも劣らない程の勢いがあります。何故USJは華麗な復活を遂げる事が出来たのか、その戦略をまとめました。

USJ復活の立役者 森岡毅

出典dime.jp

USJ奇跡の復活劇の影には、一人の敏腕マーケターの存在がありました。その名も、森岡毅CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー/最高マーケティング責任者)。

V字復活の原動力となったカギは、「消費者視点という価値観と仕組みにUSJを変えたこと」

マーケティングが機能していなかった頃のUFJでは、クリエイティブ部門が「お客様に喜んでもらえるだろう」という予想のもと、作りたいものを作っていたと言います。

森岡氏は、独自の手法を用いて徹底的に顧客ニーズを調査。消費者視点に基づき、「作ったものを売る会社から、売れるものを作る会社」に変えたことが成功の秘訣だったのです。

上場廃止

運営会社のユー・エス・ジェイが2007年にマザーズ上場した際には最終損益が初の10億円の黒字となっていたのだが、これは2004年、2005年と新規採用を行わず、依頼退職も導入して費用削減を図った結果であった。

このように来場者数が減少する中で費用を削減して黒字を出そうとすれば、どうしても業績は縮小均衡へと向かう。黒字になったといっても、株式市場の投資家はさらなる利益の成長を期待している。それを費用削減で達成するというのは、長期的に見れば無理がある状態だった。

このような状況の選択肢として、ファンドの資本を導入していったん株式の公開をやめたうえで再成長の道筋を作るというのは、企業戦略としては有効なやり方である。理由は、上場していることでどうしても四半期毎の利益を出していかなければならないという、短期的なプレッシャーに経営者がさらされるからで、この状況を取り除かないと大規模な投資をしたうえで長期的な再成長を目指すのは難しいのだ。2~3年、赤字が続いても構わないからきちんと将来に向けた投資をしようというような経営方針は、マザーズに上場してしまうとなかなか採用することが難しい。

設備投資不要のハロウィンイベント

森岡氏が目をつけたのが秋のハロウィーン・イベント。新しい何かを始めるよりも、既に予定されているシーズナルイベントを大成功させるほうが良いと考えた。ただし、キャピタル(設備投資費用)は使わないこと。その上で新しい価値を作る。

その具体的なプロダクトが、「ハロウィーン・ホラー・ナイト」だ。夜になると、昼間の雰囲気が一変し、パークは大量のゾンビが徘徊するホラーエリアとなる。ゾンビにはユニバーサルの特殊メイク技術と演出が施され、最高レベルのクオリティで提供され、ゲストにとっては、思い切り叫ぶことができる空間であり、まさに非日常。しかも、ゾンビは何体雇っても設備投資は必要ない。ここに、今までにないハロウィーンの体験価値を創造することに成功したのだ。

初日の来場者数は、想定の2万人を遥かに超える3倍の6万人、それまでずっと7万人程度で赤字だったハロウィーン・イベントを大きく黒字化とし、最終的に追加集客数で40万人を超える結果をだした。

ファミリー層をターゲットに

USJのアトラクションはリアルかつスリル溢れるものが多く、大人にとっては魅力的なパークだが、低年齢の子供が楽しく遊べる場所に欠けており、ファミリー層の集客が弱かった。

そこで、子供連れファミリー層をターゲットとした『ユニバーサル・ワンダーランド』を建設。

その結果、それまでは740万人程度だった年間集客数が、2012年度は975万人へと大幅に増加した。

逆向きで走らせるジェットコースター

2013年には、逆走するジェットコースター「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」を企画しました。既存のジェットコースターを後ろ向きに走らせるだけというシンプルなアイデアですが、意外と誰も気がつかなかったコロンブスの卵的発想です。

このアイデアをぶち上げたものの、前向きに走らせていたものを後ろ向きに走らせるというのは前例のない未知の領域です。人体への影響は大丈夫なのか、認可取得はできるのかなど、さまざまな障壁が想定されました。しかしふたを開けてみれば、制作はスムーズに進みました。技術サイドが卓越した技術と経験と情熱をもって取り組んでくれたからです。その結果、最高で「9時間40分待ち」という記録的ヒットにつながりました。

後ろ向きジェットコースターのアイデアが優れていたのは、設備投資費が極めて少ないという点です。既存のコースに後ろ向きに改良した車両を走らせるだけで済む。こうして少ない投資でヒットを連発して食いつないだことが、450億円もの巨額投資を可能にし、「ハリー・ポッター」の大成功につながったのです。

人気アニメやゲームとのコラボ

森岡氏の戦略は、映画の枠を取り払った作品展開です。当初のUSJはディズニーランドと同じで、基本的にアメリカの大手映画会社=ユニバーサル・スタジオ社の作品をコンセプトにしたアトラクションしかありませんでした。多くの人が「USJ=ジュラシックパーク」という印象を持つのは、この事が理由です。しかし、特定の映画のみに固執していては多様化する客のニーズに応えられないという判断から、人気の高い様々なエンターテイメント作品を取り入れる方針にシフトしたのです。

それまでひっそりと展開していたワンピースのショーをテレビCMで大々的にアピールした事を皮切りに、エヴァンゲリオンや進撃の巨人などの漫画・アニメ作品、モンスターハンターや妖怪ウォッチなどの人気ゲームとのコラボを行うなど、映画だけに留まらない幅広い展開によって、多くの新規客を呼び込む事に成功しました。特に、2014年にスタートしたハリーポッターエリアは大ヒットとなり、同年は過去最高(当時)となる1270万人もの入場者数を記録しています。

コラボ作品を徹底的に研究

ワンピース、モンスターハンターとコラボするために、森岡氏が取り組んだ内容について。

当時のUSJ社内では、映画は高尚なもの、アニメやゲームは低俗なものといった雰囲気が蔓延していたそうです。しかし顧客のターゲットを広げ、世界最高のエンターテイメントを作り上げるためにこれらのコンテンツが必要だと判断した森岡氏は、まず作品の世界を深く理解することから取り組み始めました。

モンスターハンターに至っては、総プレイ時間が400時間を越えるほどのやりこみっぷり。

森岡氏は単なる1マーケティング担当者ではありません。マーケティングを含む複数の事業部を束ねる、会社幹部クラスの人物です。そんな人が自ら寝食も忘れるほどアニメやゲームのコンテンツに没頭する話なんて、ゲームやネット業界関連を除いて今までのどんなビジネス本でも読んだことがありません。

森岡氏自らがコンテンツの熱烈なファンとなり、例えばモンハンの契約交渉でカプコンを訪問した際は、ひたすらモンハンへの熱い想いを語り尽くすことによって、決定権を持つキーマンと瞬時に意気投合したそうです。

任天堂との提携で更なる躍進へ

人気キャラ「マリオ」などが登場する任天堂のエリア「SUPER NINTENDO WORLD」が、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に誕生することになった。

運営元のユー・エス・ジェイ社が12月12日に発表した。「SUPER NINTENDO WORLD」では、任天堂のキャラクターやゲームの世界観を再現した乗り物のアトラクションが楽しめるほか、ショップやレストランを含む、「巨大複合エリア」になる。現在は駐車場になっている場所と、将来の拡張用地の一部にパークエリアを拡張した上で建築するという。

大阪のUSJ以外でも、アメリカ・フロリダ州の「ユニバーサル・オーランド・リゾート」と、カリフォルニア州の「ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド」の2カ所にも同様のテーマエリアをつくる予定だが、日本が世界初となる。投資額は500億円超で、朝日新聞デジタルは2014年7月に開業した映画「ハリー・ポッター」のエリアを超える規模になると報じている。

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