デフレ、消費税増税等で長引く景気低迷、不信にあえぐフード産業の中で経常利益10億超をたたき出し続けるドミノ・ピザ。ドミノピザの戦略を分析することで見えてくる勝ち続ける企業とは。
【Point1】人気メニュー炭火焼チキテリでみる価格の遷移
各企業が対応に敏感になった2014年4月の消費税増税(5%→8%)のタイミングでドミノピザがとった戦略
Mサイズ:¥2350(税込¥2538)
Lサイズ :¥3650(税込¥3942)
消費税の税率アップのタイミングに合わせる形でピザの値段もアップ。
仕入値等のコストアップを据置価格で乗り切りろうという企業も多い中で大胆にも価格に上乗せ。
増税の影響で消費が落ち込むことが心配される中で、ブランド力のあるドミノピザはしっかりと価格に上乗せ。なかなかできることではありません。
【Point2】ピザサイズを変更してコストアップに対応
消費税増税後の2014年9月、ドミノピザはコスト削減のための手を緩めず、利益の確保のために畳みかけます。
その戦略はシンプルながら直接的、ピザのサイズを小さくしてコスト削減を図るというものでした。
Mサイズ:直径約23cm(2~3人前)
Lサイズ :直径約33cm(4~5人前)
Mサイズで直径を2cm、Lサイズで直径を3cmサイズダウンすることで材料コストを圧縮!
ポテトチップスなど内容量を減らす戦略は大手菓子メーカーも採用した利益確保の有効な戦略、ドミノピザもしっかりと採用しています。
競合の大手ピザチェーンのサイズはそのまま。
ピザを小さくすることで注文が減ることを恐れ踏み出せません。
【要チェック】ピザサイズの変更について解説
Mサイズで直径を2cm、Lサイズで直径を3cmサイズダウンといってもどれだけの効果があるのかいまいちピンときませんよね。
消費者がぱっと見気づかないレベルのサイズダウンを行った程度でどれほどのインパクトがあるかはなかなかわかりません。少し計算してみたいと思います。
ピザの量を面積で考えてみます。
円の面積は半径×半径×3.14で計算します。
Mサイズの面積比較 直径マイナス2cmで約15%のサイズダウン!
サイズダウン前のMサイズの面積は
12.5×12.5×3.14=490.625
490.625㎠
サイズダウン後のMサイズの面積は
11.5×11.5×3.14=415.265
415.265㎠
なんと約15%ものサイズダウンに成功しています!
Lサイズの面積比較 直径マイナス3cmで約16%のサイズダウン!
サイズダウン前のLサイズの面積は
18×18×3.14=1017.36
1017.36㎠
サイズダウン後のLサイズの面積は
16.5×16.5×3.14=854.865
854.865㎠
LサイズではMサイズの上を行く約16%ものサイズダウンを達成!素晴らしい!
初めてみる消費者にはわかるはずもないので推奨の人数はしっかりと4~5人分とサイズ変更前と変わらない表記。
ぶれない姿勢を見習いたいです。
【要チェック】パーセントで言われてもしっくりこないという貴方に
Lサイズピザを12ピースにカットすると1ピースの面積比率は約8%になります。
16%のサイズダウンは約2ピースの削減といえるのではないでしょうか。
ぱっと見よくわからない、「ちょっと小さくなったかな~」程度に消費者の反応を抑えつつ実は約2ピースものサイズダウンに成功!すさまじいインパクトです!
以下サイズダウン実施時の反応
【Point3】ピザサイズの変更に関するアナウンスはしない!
ドミノピザのLサイズの大きさがMサイズの大きさとほとんどかわりませんが 気のせいでしょうか?
09/01より
Lサイズピザ 14インチ→13インチに縮小(36cm→33cm)されたようです。
隅々まで見たわけじゃないですが、目立つ範囲では公式サイト等での告知もなしに変わったようです。
Point2のサイズ変更の際の対応についてもドミノピザの戦略が光ります。
変更に関する公式なアナウンスは一切なし!サイズの表記だけがいつのまにか変わっている!?
事を荒立てず、静かに速やかにミッションを遂行するドミノピザ!
【Point4】宅配ピザのビジネスモデルを打ち砕きコスト削減
ドミノピザといえば宅配ピザ業界のビッグスリーに数えられます。
にもかかわらず持ち帰りで店舗まで行けばなんと1枚無料という発想の大転換が生んだキャンペーンを展開。
宅配ピザの価格は人件費とガソリン代などの配送コストによるものといわれ、人件費削減を断行するための会心のキャンペーンといえます。
宅配ピザが宅配をしないことで利益を高めていくという、従来のビジネスモデルを打ち砕くキャンペーンは強い信念がなければとてもできないでしょう。
人件費カットによる配達人員不足はピーク時の無理な重複配達、提供されるピザの温度などに著しい影響を与えるものと考えられます。
しかし企業の追求することはとにかく利益と考えるならば、配達に時間が少々かかり、ピザがぬるい!といったクレームが来たところでドミノピザにとっては些細なことなのかもしれません。
以下ドミノピザ従業員を名乗るWEB上のQ&A
280:2枚買うと1枚無料って嬉しいけど、お店って採算取れてるのか?
>>280
配送費が高い。
大体900~1,000円の時給で配達可能な件数は3件/時
でも毎時3件とは限らない。
もう1枚と言う事は・・・後は言わんでも判るよな。
>>282
いやいや、ピーク中は1時間に6件は行くから
284 :焼き上がりのあと配達になってから20-30分かかることあるものなあれで真っ直ぐ来たといわれて信じられるわけがない
で、当然だけどかなり冷めた状態で届いて、毎回冷めてると文句を言うか迷う
>>284
取りに行って2枚食った方が良い。
>>284
いつも路上で受け取るときバイクにもう一枚ピザが入っている
2軒まとめて配達に出てるならあとまわしの家は冷めるわなあ
289:3件の同時配達は見たことある。
移動時間と往復距離を考えるとそうでもないと>>283は厳しい。
>>289
厳しくねーよ
俺ドミノでドライバーやってるけど、3軒持ち30分で行って帰ってこれば6軒になるだろ
最高5軒持たされたことあるぞ
293 >最高5軒持たされたことあるぞ
だから冷めてるピザが届くことあるんだな
ジャッジが難しいところですがピザが冷めて届くということは割と頻繁にあるということなのでしょうか。
ただ逆にそれが宅配から持ち帰りへの消費者の購買アクションに変化をもたらす良い意味での教育につながっているのかもしれません。
宅配も”たまに”やる路面店を目指すための布石だとしたら・・・。
【Point5】大規模キャンペーンで一般消費者へのイメージアップ
出来るわけがない!
けど大真面目に検討そして断念!
トナカイ風にカスタムしたバイクで行きまーす♪
最近話題になったドミノピザのイメージアップ、話題作りの戦略ですがとても面白いです。
プレスリリースの形をとりつつ、広告代理店と強く連携した非常に戦略的なプロモーションでした。
トナカイ配達に限らずドミノピザはさまざまな切り口でおもしろおかしい、消費者の注目をひくキャンペーンを展開し続けています。
とにかく表に出る「ドミノピザ」の企業イメージのアップに余念がありません。
そしてこのような大規模なイメージアップ戦略が下記のようなネガティブな情報を覆い隠し、消費者に関心を持たせない土壌を作っていると考えれば2度おいしい!最高のPR戦略といえます。
2014/7に起きた中国製チキンの問題により、食材産地情報の開示などが世間で行われる中、現在ドミノピザではこれを公表しておりません。これにより中国産の食材が少なからず利用されている可能性があります。
その他、ピザとは思えないチーズだけ食べた残飯か?とも思えるピザの画像報告。
チーズ感がないなどの報告は日常茶飯事。ダメピザ画像報告多数有
特典Buy1Get1Free(持ち帰りピザ1枚サービス)などはドミノならではのサービスでありましたが現在はピザハットも常時持ち帰り半額状態となっており、このサービスの強みも消えています。
またそれによって、持ち帰りが出来るファンは多数ピザハットへ鞍替えした模様です。
現経営陣ドミノピザエンタープライズは、日本市場を喰える市場と考えている様で、当面は搾取一辺倒と予想されます。
以上により現在ドミノピザを注文するのはバカかカルト、又は情弱の極みです。
45%+5%off+配達があるので仕方なく利用している、という者が辛うじて残るのみなのかもしれません。(´・ω・`)
【Point6】従業員教育の徹底
ただしどんなことがあっても世間を騒がす&経営を揺るがしかねないバカッター騒動だけは起こしてくれるなという徹底した従業員教育がなされているのかもしれない。
画像は2ちゃんねるすれ
【ドミノピザ】Domino’s Pizza から転載
【最後に】Foever ドミノピザ!
おもに6つのポイントから分析したドミノピザの戦略についてご覧いただきました。
大胆ながら繊細に利益を追求する姿勢は企業としての真にあるべき姿であるといえます。
長引く不況、広がる格差、TPPなど日本の経済はまだまだ厳しい情勢が続くことが予想されます。
ドミノピザの徹底した利益至上主義は今後間違いなく注目されることでしょう。